開けてびっくり、構造からのリフォーム

リフォーム

今回は、工場付き住宅のリフォームをご依頼くださった、N様のお宅のご紹介です。

3年前、住宅部分の外装の防水と塗り直しをさせていただいたこの住宅。
工場部分の建物の雨漏りがあったので、屋根の吹き替え工事、外装の張替え工事を、というご依頼でした。街中の狭小地のため、隣家との隙間が25cmほどと狭く外側からの張替えは難しいため、板金屋さんと相談し、壁をはずして内側から施工していくことになりました。

40~50年前の建築である建物は、見えている部分の柱から鉄骨造りであると判断し、北側の壁の木部が、雨漏りとシロアリによって腐食していたため、土台の取り換えも行うことで見積もり。その後壁をはがしてみると。。。

なんと、鉄骨造なのは半分だけで、残りは木造で古い建物の廃材を利用していたようで、北側以外にも腐食した柱が多く、あるべき場所に構造材がないなど、とても脆い構造であることが判明。

柱を受ける土台も腐敗しており、基礎が断裂して手で押したら動いてしまうところや、基礎の立ち上がりのないところも。土間コンクリートの上に置かれているだけの柱もあったりして、よくこの状態で屋根が落ちずに建っていたなぁ。とびっくりの連続でした。

これでは危険すぎる。ということで慌てて計画を見直し、Nさまにも倒壊の危険を理解していただき、「予算をあまりかけない。」という約束で土台から補強をして傷んだ柱を変えていくことになりました。

内部の簡易的な補強計画図面を作成し、大工さんには手刻みで構造材の加工をしてもらいました。新築ではあたりまえに工場で加工されてくるプレカット構造材。仕口の加工を施工できる大工さんが少なくなっている中、大工を基礎から学んだ、いつもお願いするベテランの大工さんにより、現場加工の構造材を作ってもらいました。

梁伏せ図を描き、構造材の何もなかった広い空間を梁でつなぎ、ねじれに強いように火打ち材を設置。既存の鉄骨部分とは金物でつなぎ、梁の上に束をたて、屋根下地も補強しました。

構造計算のようなちゃんとした裏付け、根拠はないですが、柱と柱の距離に対して決められた高さの梁を組み、柱、筋交いを入れ、構造金物を取り付け、これから使っていくのに安全な建物となりました。

雨漏りしていた屋根も穴の開いた下地の上に新しい下地を作り補強し屋根ふきをし、外壁は屋根から落とし込んでいく形で大人数で中と外に分かれて施工し、リフォームが完成しました。

長年親しんで使ってきた建物でしたが、脆く危険な状態だったものを補強し、安心して暮らせる建物になりました。現在こちらは、荷物置き場、洗濯物干し場として利用しています。

昔工場として使っていたご主人の思い出の場所を、解体するのではなく、残しておきたかったのかもしれません。屋根、外壁からの雨漏りもなくなり、キレイになったということで、喜んでいただきました。